モニプラファンブログ(以下モニログ)のファンサイト・オブ・ザ・イヤー2017(以下FOY2017)で銅賞を受賞したのは、外反母趾や扁平足、O脚など足のトラブルに特化した靴ブランド「AKAISHI」です。「FOY2013」「FOY2014」の受賞と合わせて、今回が3度目の受賞となりました。ネットショップのほか、直営店舗も手がけているAKAISHIですが、モニログを導入した当初は、「特にクチコミをマーケティングへ利用することは考えていなかった」とのこと。そこから10年弱の利用期間中、次々と時流に合わせた新しいブログの利用方法を展開しています。モニログ導入当初から現在までの活用の変化や、複数回受賞の背景、今後計画している新しい展開などをおうかがいしました。


株式会社AKAISHI DMセクション マネージャー 小林 宏紀様

導入のきっかけはリアルな生活者の声を求めて。そこで気づいた販売側と消費者の意識の「ズレ」

――御社では2010年頃からモニログを利用していただいていますが、導入にはどんなきっかけがあったのでしょうか。

AKAISHI:導入のきっかけは、生活者の声をもっと知りたいと思ったことです。当時は、ソーシャルメディアが今ほど活発ではなかったため、クチコミを利用したマーケティングにはさほど重要性を感じていなかったものの、生活者が自社の商品をどう感じるのか、アンケートでは集めきれない声を知りたいという気持ちがありました。そこで、モニログを利用してクチコミを集めることにしたんです。いざ始めてみると、レビューやクチコミの質の良さを実感して、これは販売にも利用するべきだと思うようになりました。

――モニログのクチコミをマーケティングに利用しようと思ったのは、導入を始めてからということですね。ちなみに、御社では自社サイトでもレビューを投稿することができますが、モニログのクチコミと比べて違いはありますか。

AKAISHI:モニログのクチコミはモニター募集によるものですが、自社ページのレビューは購入者によるものです。購入者が書くレビューは、「自分の足にフィットしたかどうか」が焦点になりますが、モニログのレビューは、ファッション性が高いかどうか、商品の材質はどうかなど、購入前に悩む点について注目しているものがほとんどです。

――確かに、購入前と購入後では、商品の感想が違ってきますよね。購入を悩んでいる人にとっては、商品が自分の足にフィットすることは大前提で、購入後を見据えたときにどんな履きこなしができるか、材質はしっかりしたものかといった部分が気になるものなのでしょう。こうしたクチコミをマーケティングへ利用してみていかがでしたか。

AKAISHI:クチコミの質が想像以上に高いと感じたのが第一印象でした。それと、販売側である私たちと消費者には、商品をおすすめする時にどうしてもズレが生じることに気付かされました。
私たちが商品をおすすめしようとすると、靴の形状や仕組みの説明などに注目してしまいがちです。しかし、それは消費者にとっては分かりづらい部分であり、購買意欲を掻き立てるものではありません。このズレを埋めてくれたのが、モニログのクチコミでした。私たちよりもずっと消費者に近く、購入を考えている人と同じ目線で商品を説明してくれたのです。

ファンがサポーターへと成長。モニログから生まれるUGCとは

――モニログを利用したマーケティングは、具体的にどのような方法で行っているのでしょうか。

AKAISHI:オンラインショップサイトでシーズンごとに新商品の特集ページを組んでいるのですが、そこにブロガーさんのレポートなどを使ったコンテンツを掲載しています。すでに商品を気に入っていただいている既存のお客様には、新商品が出たという訴求のみで購入していただけますが、その勢いはしだいに収束します。このタイミングで、ブロガーさんによるコンテンツページを投入すると、それまでとは違った視点での新しい訴求力が生まれ、商品が再び動くようになるんです。

――UGCの生成にモニログを利用されているということですね。

AKAISHI:はい。モニログには質の良いレビューを生み出してくれるユーザーがたくさんいます。自社で独自に作成しているコンテンツもいくつかありますが、販売やプロモーションへつなげることはとても難しいんです。優良なコンテンツには何が必要かと考えると、やはり消費者と同じ目線を持つモニログのクチコミが一番効果的ではないかと思います。


写真:「AKAISHI」ファンサイトのキャプチャー

――こうした動きはいつ頃からあったのでしょうか。

AKAISHI:ここ2年間ほどでしょうか。導入当初はファンを増やすことに重きを置いていまして、おかげさまで2万人弱の方にファンになっていただけるまでになりました。現在は、このファンの皆様にご協力いただきながら、より質の高いコンテンツを生み出す取り組みへとシフトしています。

――モニログの利用方法が変わることで、ファンとのコミュニケーションに変化はありましたか。

AKAISHI:より質の高いレビューを執筆していただくために、モニターをしていただくファンとの親密なコミュニケーションを心がけるようになりました。靴にはサイズがありますから、購入した商品が合わなかった場合などに新しいサイズのご提案をすることもあって、必然的に対話の回数が多くなります。こうしたやり取りをさらに発展させ、より深いコミュニケーションを取るようにしました。結果、ファンの方の一部には商品に関すること以外のプライベートなお話をする方や、5年以上の長いお付き合いをしている方などもいます。

――モニターというよりも、すでにサポーターに近い感覚ですね。

AKAISHI:本当にそうですね。親密なコミュニケーションを続けるファンの方の中には、個別のオファーで何年もレビューをお願いをしている人もいます。写真を何枚も使ってファッション性の高い記事を書いてくださる人や、レポート内容が読みやすくて上手な人などタイプはさまざまですが、すでに立派なライターチームというような感じになりつつあります。

利用方法がシフトしてもファンが支持し続け3度目のFOY受賞へ

――御社は、過去「FOY 2013」「FOY 2014」も受賞されています。この時期は、ファンを増やすことに注力していたということですが、今回は、コンテンツマーケティングのサポートツールとして利用し始めてから初の受賞となりました。「FOY 2017」の受賞は、御社にとって前回の受賞とまた違う意義もあるのではないでしょうか。

AKAISHI:当時は、シンプルにファンの方が参加して楽しんでいただけるイベント開催を目指していました。そこから一緒にコンテンツを作っていただき弊社のマーケティングにご参加いただく感覚のイベント開催にシフトしたにも関わらず以前と変わらない支持を得られたことはすごくありがたいです。ひとえにファンとのコミュニケーションが評価された結果だと思っています。

――ファンとの親密なコミュニケーション以外にも、今回の受賞につながった要因があるとお感じですか。

AKAISHI:弊社では、昔から返品無料、調整無料のサービスを行っています。靴は実際に着用してみないと履き心地が分かりません。そこで、お買い上げいただいた商品には、「調整シート」という履いた時に気になる部分をチェックするシートを同梱しています。使っていくなかで、幅がきつい、かかとが痛くなるなどの不満が生じた場合、調整シートに気になる部分を記入して商品を送っていただければ、その要望にそって商品を手作業で調整します。
このサービスは足にフィットするまで何回でも受けることができるのですが、購入者だけではなく、モニターの方にも利用していただくようにしました。こうした、消費者に寄り添ったサービスがあるということを、モニターのおかげで広く認知していただけたことも受賞の要因のひとつだと思います。


写真:「AKAISHI」公式サイト内の返品・調整無料サービスをお知らせするページのキャプチャー

――モニターでも購入者と同じサービスを受けられるのは大きいですね。御社では、モニログの利用方法を工夫しながら、すでに10年近く使っていただいています。SNSマーケティングが全盛期の現在、あえてブログを利用するメリットはどこにあるのでしょうか。

AKAISHI:AKAISHI: 例えば、インフルエンサーを利用したSNSマーケティングは、今とても注目されていますし、確かに有効な手段だと思います。しかし、モニログのファンは、弊社の商品に興味を持ってモニターに参加してくださり実際に弊社商品を体験して好きになってくださって記事を書いてくれるので、インフルエンサーとは熱量が違うんです。この熱量は、長期的に見るとコンテンツ力に影響してきます。将来、「AKAISHI」で検索された時に、ファンの「好き」がにじみ出てくるような記事でページがあふれるようにしたい。それにはやはり、商品の感想をしっかりとレビューしてくれるブロガーさんの力が必要だと思っています。

――御社では、時代の流れに合わせたブログの使い方をすることで、ファンサイトの域を超えたつながりを作ることに成功していますね。最後に、今後御社がコンテンツマーケティングをさらに進めていくうえで、新しいアイデアがあれば教えてください。

AKAISHI:この先2~3年の間に、ファンの中から特に優れたモニターやブロガーの方に集まっていただき、組織化したいと考えています。そのためには、ビジネスライクなつながりから、さらに一歩踏み込んでマーケティングパートナーのような関係性を強めていくことが必要不可欠だと思います。その方たちがインフルエンサーとして活躍するために、私たちが新たに場を提供したり、活動を支援するなどの努力をしながら、お互いが成長できるような関係を築いていきたいですね。